Last Update:02/05/11
 
詩集「はみだし者の詩」
2002年2月23日 高知新聞(夕刊・7面)
2002年2月26日 高知新聞(朝刊・33面)
 
高知市の大学生・りんたろうさん
300部自費出版、無料配布
 
 高知市の恥ずかしがりやの大学生、りんたろうさん(二二)が、生まれて初めての詩集「はみだし者の詩(うた)」をこっそり出版しました。
 
 りんたろうさんによると「これは単なる詩(ポエム)ではなく、いつも□ずさめる歌(ソング)でもなく、クソッタレどもの心の詩(うた)」なのだそうです。
 
 詩集は一ページごとに短い詩と自筆のイラスト。思いのほか、乱暴な言葉遣いです。
<雨が降りゅうき楽しくない、だと!!じゃカエルにでもなるんだな>
<パンからジャムがはみでている・・・やっかいなもんだ邪魔者だ・・・ま、これが俺達(たち)アウトサイダーの詩。そんなもんさ>
 
おおおー、ワイルド。
アウトローの詩は怖いですう。
 
<リモコン・・・手が届くほど遠い距離から指先で物を操るもの・・・却下(捨でろ!!)>
 あれれ。テレビのリモコンに怒ってますな。
 
<小石につまづいて転ぶ・・・人間はとっても弱いんです・・・でも100円を拾った・・・そう僕達はとっても欲深いのです>
 はあ、しみじみと。実はりんたろうさんは気弱でシャイで料理好きな自称アウトローなのです。
 

 
高知市内のアパート。ドアを開けると、鼻孔にぷーんとカレーのにおい。近所の美容室であてた"爆発おばちゃんパーマ"のりんたろうさんが、夜通し煮込んだカレーの味見をしている。
 
 大学進学で岡山から高知へ。四年間いつもヒマだった。
 弁当屋でバイトしたり、毎回同じ居酒屋で友人と同じ話を何回もしたり、部屋でしちりんを使ってカニを食したり、断酒を誓ったり。要するにだらだらしていた。
 「周りのみんなは留学とかいろいろして、僕も何かしたいなあ」と思うようになる。
 シャイなりんたろうさんは、酔っぱらっているときに、友だちに書きためていた詩をこそっと見せては喜んでいた。
 
 昨年ついに、自作の詩と適当にかいた「落書き程度」のイラストをまとめバイトでためた三十万円をはたいて自費出版。
 思い切って"はみ出した一歩"が、この詩集だったわけですな。
 三百部をつくり、一年がかりで百八十部を友人らに配り終えるという順調さ。恥ずかしがりやさんの作品だけに「読んでいる方も恥ずかしい」と大変好評のようです。
 
 四年間みっちり、人文学部の「国際社会コミュニケーション学科」で勉強。今春、無事卒業し、大阪の調理師専門学校へ入る予定だそうです。
 動機は「ふと料理人を目指したくなった」ようで、「いつか自分の店を高知に開いてやるぜ!」だそうです。
今後もますます、はみだしっぷりに磨きをかけてほしいものですね。

 

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